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携帯GPSの誤差と使用方法


以下の記事は2009年時点の古い記事。現在は台湾のwintec社のWWPL-2000LXという小さなGPSロガーを使っていますが、これも生産終了。スマホの普及でGPSトラックはスマホアプリでも取れます。専用ロガーとっくの昔にも商売にならなくなりました。

2019年現在使用のGPSロガーwintec社WPL-2000LX

      

100円ライターの厚みを2倍にした大きさ   ポケット付きの帽子に入れたり

 

1.利用のきっかけ

私は2002年の春から携帯GPSを利用しており、全フィールドで使用してきましたが、一般的な地表踏査に十分活用できます。

使用している機種はGarmin社の当時一番安かった機種「etrex」です。(こちらのGPSショップなど参考までに)地図表示機能がないシンプルなものです。

GPSを活用したいと強く思ったきっかけは、十勝ダム周辺ののり面の転石調査でした。

100mの延長で地形的目印のない斜面でおまけに地図も粗く、自分が地図上でどこにいるのかさっぱりわからず大変苦労したのがきっかけでした。

その後、携帯GPSの使用経験のある知人に聞いたところ、林内では使い物にならないと聞き使用をあきらめかけました。

しかし、その後いろいろ進化していることも知り、かつ本体価格も2万円を切っていたのでだめもとで購入しました。

いいとこ取りだけをしているのでGPSを取り巻く状況について詳しいことは知りませんが、準天頂衛星によって悪条件での精度があがりそうなのでは期待しています。

 

2.最近の話題

知人と話題になったため、何年かぶりにGPSの情報を探ってみたらこちらにも進展がありました。Edge205というGarminの機種(いいよねっとOnlineStore)が凄いらしいです。これから買う人には絶対お勧めです。

これがなんとサイクリスト向けのレジャー用です。PCもゲームで性能向上が引っ張られたし、遊びの世界は侮れない!

なんでも“SiRF starV”(カーナビの方で開発されたらしい)とか言うチップを搭載しているために、今まで携帯GPSの弱点であった幹の林立する植林地や崖下なのでもいけるらしいのです。

わたしもお金があったらすぐにでも欲しいところです(たぶん必要にせまられてからでしょうが。)

なおPC周辺機器のメーカーLeadteckなどからGPS受信機能だけという小物も出ているようですが、踏査の仕事では小さくともTrackで来ているのか確認できる程度のディスプレーはあったほうがいいと思います。

地図とまでは言わなくてもカシミールから落とし込んでおいたポイントの位置や道路の軌跡の表示も結構現場で使えるからです。

 

3.用途

カシミール3Dのデジカメプラグインを用いると、携帯GPSの位置情報とデジカメの撮影時刻情報を参照して、あっという間に写真撮影位置を図面に落としてくれます。

横着者の私にぴったりの道具と言えます。

 

4.誤差について

ハンディのGPSの誤差は条件が良くて45mと記憶しております。

経験では、下記のような感覚(厳密に記録したわけではないので)を得ています。一般に誤差10m弱程度と理解してよいと思います。

1)比較的空が開けたところでは45mの誤差(画面表示によれば、以下同様)

2)山間部の林地でも急峻でないところでは710m程度であることが多い。北海道の山ならおおむねこの程度。

3)積丹の海岸線の崖直下などでは極端に誤差が大きく2030mになることもあり、まれに位置測定不可になることがある。

4)まれに、衛星の位置の関係なのか、開けたところでも10mを超える誤差の場合もある。

1/5百の例を改めてよく見ると、誤差5〜10m弱といっても、唐突にばらばらの方向に誤差が出るのではなく、ずれるにしてもある程度統一性のあるずれ方をしているような気がします。

つまり、近接する箇所でつづけて写真を撮っても、その位置が前後することは経験上あまりありません。

 

5.フィールドでの使用法について

1)GPSはアンテナの構造上だと思いますが、水平に保持する必要があります(重要)。私の場合、ヘルメットの上に金具をつけて固定するか、ザックの肩部分に固定して歩いています。

ヘルメット上の方が若干良いデータが取れるような気がします(夏は暑くてつらい)

2)通常は踏査中ずっと自動でトラックデータを取り、大事な露頭などでは確認の意味で手動でポイントを落とします。

普通、デジタルカメラで写真を撮りながら歩いているので、Kasiimr3Dのデジカメプラグインを用いて写真位置がわかるのでポイントを落とさなくてもOKです。

3)これは機種によりますが、私の持っている機種の場合はちょうど1日踏査したくらいでメモリが満杯になり、勝手に早い時間のデータの上に新しいデータを上書きしてしまいます。

午後にはメモリの余裕をチェックするようにしています。朝のデータが消えた失敗経験があります。泊まりがけの仕事の場合はデータを吸い出すノートPCなどを携行する必要があります。

データ保存機能も付いているのですが、どうもデータを抜粋して保存するようなので(マニュアルを読むのが面倒で詳しく調べていません)使っていません。

上手に使えば何日分も蓄えられるのでしょうが(現在の機種ではメモリが増えて対応済みでは?)

4)これも機種によると思いますが、ニッケル水素電池は満タンで1日半〜2日くらいしか持ちません。

音声警告などなればよいのですが知らぬ間に電池切れになってデータが取れていない失敗が何度かありました。毎日電池を交換するくらいのほうが安全です。

取り付け金具はホームセンターで適当なものを

現場で使用中

 

メーカー純製のケースで固定OK

 

3.データ整理について

1)GPSからカシミール3Dにデータを吸い出して使用しています。

2)デジタルカメラで取った写真に位置情報を書き込むのもカシミール3Dのデジカメプラグインを使用しています。

これはファイルを選択してボタンを押すだけで、GPSデータと写真ファイルの時間データを照合して写真ファイルに位置情報を書き込んでくれる優れもので、画面上でアイコン表示もしてくれます。

また、撮影位置が既知な写真ファイルにドラッグ&ドロップで位置情報を書き込むこともできます。

3)カシミール3Dは図面の緯度経度さえわかれば、どんなスケールの地図でも表示できるので縮尺1/500とか1/5000の地図にGPSデータを表示させることが可能です。

 

カシミール3DでGPSトラックと写真アイコンを表示した例

カシミール3DでGPSトラックを3D表示した例


参考HP

GPSの森:京都大学のメンバーが中心となって運営しているGPSに関するサイト。主に森林、生態へのフィールド利用について書かれています。